五台山八十八ヶ所 霊場巡拝
四国はお遍路の信仰の島、八十八ヶ所の霊場札所が作られています。
この霊場巡りは部分的にはすでに790年頃から始まっていましたが、 観音信仰として有名な西国三十三番に発想を得て、八十八ヶ所が確立したのは1600年頃と言われています。
もともとは弘法大師の仏道修業にあやかろうと、僧侶たちの間で行なわれていましたが、次第に庶民の間でも流行するようになりました。
遍路の目的は大師の遺徳にあやかり、迷妄を脱して涅槃の境にいたることにあります。しかし実際には今生未来の安楽を願う切実な祈りがあり、現世利益すなわち病気全快、家内安全など「おかげをいただく」ことにもありました。 360余里 (1500km)、 しかも僻遠の難路は誰も彼もが巡拝できる訳がありません。 そこで、その日の生活に苦しむ庶民でも、その気さえあれば巡拝できるミニ八十八ヶ所が、 信仰心の厚い先達方の生活の知恵として各地に生まれたのでしょう。 五台山の八十八ヶ所は、1820年代まで遡ることができ、正式の八十八ヶ所の各札所の本尊を、生い茂った草むらや木立の陰、巌の上に祀り、いつでも巡拝できるよう工夫されています。